リハビリテーションという言葉は様々な分野で用いられています.
今回は特に医療分野での話です.
主に病院で行われ,整形外科,脳神経外科,神経内科の疾患が対象となることが多いですが,近年では循環器・呼吸器に対するリハビリテーションも盛んに行われるようになってきています.
それでも多くは,整形外科における手術後のリハビリテーションや脳梗塞・出血,脊髄損傷後に手足の麻痺に対するリハビリテーションが多数となります.
療法士の数が少ない時代は,1対1でリハビリが行われることはまれでした.リハビリ方法を指導され患者自身で行うことも珍しくない状態だったそうです.最近では療法士の数も充実し,回復期リハビリではリハビリの時間が2時間や3時間充てられることもあります.
ですが,診療報酬制度の改定でなるべく早く退院させることにせまられ,必要最低限‘自分で生活できる’もしくは‘家族の助けがあれば家庭で生活できる’機能が重要視されるようになりました.歩けるなら人工関節の手術でも2週間で退院,身の回りのことが自分で出来るから脳梗塞で麻痺があっても3か月で退院,ということも当たり前です.患者自身の‘こうなりたい’‘リハビリ続けたい’という想いはある程度尊重されるものの,時期が来れば退院を余儀なくされます.家庭で生活できる機能がなければ施設に移住しそこでのリハビリが継続することになります.以前は退院してからも,外来でリハビリを受けることが出来ましたが,近年大きな病院での外来リハビリはあまりされなくなっています.その代りデイケアやデイサービスといった介護施設でリハビリが行われます.
ここで問題になのは,現在退院してからのリハビリの質が担保されていないことです.もちろんリハビリをメインにしている施設もありますが,そうでないところが大半です.病院で行われているリハビリでさえ専門的な知識が不十分でよりよいものが提供されている状況ではありません.先に述べたように,‘生活できる’ことが重要視されるため,仕事など‘社会復帰’については深く考えられていません.そのため機能回復を妨げるようなリハビリが行われることもしばしばです.
‘受けたいリハビリ’を受けられる状態ではないという事です.最近,病院は患者から選ばれるようになりました.ですが,リハビリを選んで行うということは,まだまだ少ないように思います.
リハビリを選んで来てもらう,そういう場所を造りたいと思います.
そのためには,知識・技術.知識がなければよいリハビリは提供できません.でもそれは最低限のことです.さらに必要なのは,本当に必要としていることに寄り添えるかです.こちらの考えを押し付けるのではなく,話を聞いて,お互いが同じ目標を真摯に目指す.こうして始めてより効果的な機能回復が行えるのではないかと思います.
療法士が思うよりもっと上を目指している患者はたくさんいると思います.ですが,統計学を持ち出して機能回復の程度を見積もったり,療法士のゴールに当てはめたりしている例は少なくありません.
今のリハビリに満足していますか?他のリハビリ方法を知っていますか?病院ではないからこそ,出来るリハビリがあります.
何かに縛られず本気で‘リハビリ―ション’を目指したいものです.
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