
理想の投球フォームは球速も速く,野球肩・肘の予防にもなる!
理想の投球フォームを創る
このテーマを目指して投球フォームを科学します.
科学的でスポーツ医学にも沿った内容になります.
随時最新のデータや情報を更新しますので,
チェックを忘れずに!
- ボールを速く投げるためには・・・
現在,日本で最速は2016年のクライマックスシリーズで大谷翔平選手の投げた165㎞/hです.
アメリカメジャーリーグでは,チャップマン選手が106m/h(約171㎞/h)を記録しているというものですが,非公式となっています.
物体が速く動くということは物理的に運動量が大きいということです.
ボールの重さは一定なため,大きな運動量を与えるには力の大きさとその時間が関係します.
ボールにより大きな力を加え続けることです.
ピッチングでは時間が限定されているため,
その時間内に効率よくボールに力積を与える必要があります.
ボールに与えられる力は,
- ワインドアップからの右脚の蹴りだし
- 股関節の捻り
- 全身にかかる重力
- 身体の捻り,肩の捻り
- 肘の伸び
- 肘から先(前腕;ぜんわん)の返し
- 手首の曲げ
があります.
これら一つ一つをアクセラレーションのフェイズで,
効率よくボールに伝達出来れば球速は大きくなります.
では,それぞれ力を観ていきましょう.
右脚の蹴りだし・股関節の捻り
身体全体を投球方向に押し出す力です.
股関節がしっかり働く必要があり,プレートを使用する場合股関節を外に開いてから後ろに蹴る力が必要になります.
具体的には画像の動きです.

この時,右足部はプレートで固定されているため,
相対的に骨盤や体幹が捻りながら前方へ押し出される運動になります.

下のイラストのように,膝を内側に入れて身体を倒すようにしているフォームを見かけますが,
右股関節の力を充分に発揮できていません.
骨盤を捻る力が小さくなります.

身体に対する重力
右足を支点にしているところから重心が投球方向に移動すれば,身体が投球方向に倒れる力が発生します.
ヤジロベーの要領です.
これも投球方向へ押し出す力となります.
以前の投球フォームはこの力を重視し,
腰を低く投球することが指導されていました.

近年,膝に土が付いているピッチャーは見かけなくなりました.
重力の力を変換し,右脚での蹴りと左脚での‘つっぱり’が
球速アップに必要なためです.
身体の捻り
骨盤の回転を含む身体全体の捻りです.
重心が前方移動している力を左回転への力へと変換し,
さらに胸椎での左回転を行うことで力を上乗せします.
重心が前方移動している状態で,左脚を突っ張って左股関節の位置を固定する(下図①)と骨盤は左へ回転(同②,③)しようとします.
これが右脚での蹴り出した力を身体の捻る力へと変換するわけです.
左脚が支えきれないことや,腰を落とそうと大きく曲がってしまうと
身体が流れたようになり,力の変換にロスが生じます.
骨盤が回転しさらに胸椎の左方向への捻りを加えることで力はさらに大きくなります.


さらにその力を胴体に伝え左に捻ることで,
右肘が充分に前に出てリリースポイントもバッターに近い位置になります.


肩の捻り

身体の捻りが始まると右腕は相対的に,後ろ方向に動くことになり後ろへ倒れます.
ここから肩を元に戻すように捻る力と肘を伸ばす力が加わります.
ここで肩を捻る力が優先されれたりタイミングが早かったりすると,肩や肘に負担がかかりやすくなります.
上の写真はピッチャーのリリースですが,肘はほとんど伸びています.
下の図のように肘が曲がった状態で,
腕を前に倒すようなイメージを持っている人もいると思います.
これが肩・肘を痛める原因でもあります.

ボールスピードに及ぼす影響は,一般的に肩の捻りより肘を伸ばす力の方が大きいと言われ,
肩の捻りがスピードに関係する投球フォームは,身体への過剰な負担を与えることになります.
肘の伸び
身体の回転で発生した力をさらに増大させるように,肘を伸ばす力を加えます.
胴体の捻りが充分ではないと,肘の伸ばす力は投球方向へ働きません.
投げるという動作で腕の意識が強すぎると,身体の捻りが充分でなく力の発揮されません.
身体の捻り,肩の捻り,肘の伸ばしそれぞれを意識する必要があります.

肘から先(前腕;ぜんわん)の返しと手首の曲げ
肘から先の動きは分けて考えるのが難しく,前腕の返しと手首の曲げはほぼ一体です.
掌が内側を向いた状態から外側を向くように前腕を捻ります.
この動作がないと効率的に手首を使えなくなります.
投球やラケットを用いる競技でよく言われる‘スナップ’です.
投球では動きが小さく動作を確認しにくいですが,
バドミントンなどの競技を観察するとこの前腕の動きが反映されています.
打った面がフォロースルーで一度身体の外側を向きます.
右利きなら右側です.
これは掌が内から外を向く動作で,これと同時に手首が曲がることで一番効果的に力を発揮することが出来ます.


手首は前腕を固定した状態でただ曲げるだけでは速く動きません.
前腕の返しと手首の曲げを同時にさせると速い手首の運動が実現できます.
‘手首を使え’と言われ手首だけを意識すると動きがギクシャクし効率的に運動が実現されないため,
肘から手首までの動きもしっかり見直す必要があります.
指のリリース後の動きも,しっかり腕が振れているか確認できます.
ストレートですが,リリース後,親指が中に入り人差し指や中指に握りこまれるようになっていると
腕の振り方,手首の使い方が正しいと確認出来ます.


カーブのように親指が掌の外にある場合は,
腕の振り方や手首の使い方が間違っており,
野球肘のリスクが高くなります.
これらが一連の投球で必要な事項です.
特に意識されにくい部分は,
- 右脚の蹴り出しから身体の捻り
- 肘の伸び
- 前腕の返し
だと思います.
投球動作は,
- ‘手投げはだめ’
- ‘身体を使え’
- ‘身体の開き’
- ‘肘の下がり’
- ‘スナップを使え’
など指導されますが,具体的でないため選手自身もどうしてよいかがわかりません.
筋力や身体の柔軟性も必要ですが,身体の部位によっての使い方を理解する必要が球速アップの近道です!
まずは‘投げ方’を身に付けてみましょう.
野球肩,野球肘の予防
ここからは,【ケガをしない】投球フォームです.
野球肩と肘の予防に主眼を置いたフォームを解説します.
まず重要なのは各フェイズでのタイミングです.

最初にチェックするポイントは左足が着地した瞬間,
右手が真っ直ぐ上を向いていることが大事です.

この時に前腕が垂直に立っていないと,
腕の捻りが急速に行われ,肩や肘へのストレスが大きくなります.

肩関節の外旋(図では腕が後ろに倒れる動き)から内旋(腕が前へ倒れる動き)への切り替えしが短い時間になってしまい,
内旋への大きな角加速度が発生します.
これが野球肩や野球肘の原因となります.
もう一つこのタイミングで重要なのは身体の向きです.
このタイミングで胸が3塁側を向いている事が大事です.

チャップマン選手の投球フォームです.
左投げのため反対ですが,胸がキャッチャーではなく1塁側に向いています.
このタイミングでキャッチャーの方を向いてしまうと‘身体が開いた’状態になり,
肩や肘に牽引のストレスがかかりやすくなります.
次はそこに至るまでの肘の位置です.
コッキング終了までに肘が上がりすぎないことが大事です.

このフェイズで肘が上がりすぎると,胸郭出口症候群になるリスクがあります.
腕全体の痺れがあったりする人は注意が必要です.
さらに肩峰下部にもストレスがかかりやすい肢位であり,肩の炎症を引き起こすこともあります.
投球側の肘の引き過ぎにも注意しましょう.

フォームを大きくしようとして,肘を肩から後ろに引いている選手を見かけますが,
肘を身体の面より後ろに引き過ぎると,肩前方の組織が弛緩して Internal Impingement の原因となります.

肘を後ろに引くのではなく,体幹を回旋することでフォームを大きくしましょう.
続いて,Accelerationです.
気を付けるポイントは,上記パフォーマンスの内容と同様なのですが,
追加する部分は ‘肩甲骨の位置’ です.
身体と腕の位置が見た目上同じでも,肩甲骨の位置によって
肩関節にかかる負担は大きく変わります.
姿勢が悪く肩甲骨が前外側に傾くと,
相対的に肩関節が水平外転位になります.


図の赤い線と腕の骨の角度に注目してください.
肩甲骨が正常な位置だと,腕を身体の真横にあげても肩甲骨面と上腕骨の角度は30°程度です.
肩甲骨が猫背のように丸くなると,肩甲骨面と上腕骨の角度が大きくなります.
この状態では,上記のImpingementを誘発し,
Accelerationの強い力が,腱板や関節唇に発生し野球肩の原因ともなります.
肘の高さも影響します.
コッキングでも述べたように ‘肘下がり’ が悪いと言って肘を挙げればよいという訳ではありません.
基本的には左右の肩の延長線が正しい位置です.
オーバー・サイド・アンダースローで ‘何が違うか’ というと身体の軸です.



それぞれ骨盤の角度も影響しますが,
肘の位置はほぼ左右の肩を結んだ延長線上にあります.
体幹の軸をどのように傾けるかが,投げ方に違いを与えています.
必要な関節可動域
ここからは投球に必要な関節可動域(ROM)を見ます
執筆中・・・
このテーマに賛同下さる方,遠慮なくコメントお願いします.
伴に理想のピッチングフォームを造り上げましょう.
パフォーマンスアップにはコントロールも必要!
コントロールの調整にはこの方法が効果的↓
![]()
最大14%引クーポン 野球 練習 スローリング 大・小リング付き 角度調整可 リリースポイント確立 コントロールの向上 投球 送球 ピッチング ラッピング不可 FSR-5040
フィールドフォース
|
石川県金沢市 スポーツと身体のケアなら
Sept. Conditioning Lab. 㐂楽 鍼灸整体院