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腰痛とは??まず痛みの原因を考える The Tissue Origin of Low Back Pain and Sciatica (腰痛及び坐骨神経痛の原因組織)

腰痛とは何??


腰痛 腰 痛み 治療 整体

【腰痛】とは病名ではなく,『腰が痛い状態』を指します.

腰痛を引き起こす疾患は沢山あるので,「○○したら絶対良くなる!」という事はあり得ません.

腰痛,本当の腰の痛みの原因は,あまり深く考えられていないのが実情かと思います.

 

一度このコラムを読んで,巷で言われていることが正しいかどうかの判断材料にしてみてください.

排他的で扇動的な情報操作というのはどこにでもありますが,腰痛に関しても沢山あります.一度ゆっくり腰痛について考えてみましょう.腰痛に悩まされる一般の方も腰痛に対して治療にあたる方にも読めるような内容で解説していきます.

現状理学療法士や柔道整復師,鍼灸師でも【腰痛】に対する知識が充分ではないですね.

治療を考える上で重要なのは,治療方法ではなく病態です.病態が分かれば治療方法は自ずと導き出されます.

 

以上の理由から,腰痛に対する考え方や治療方法も一定ではありません.

 

  • バキバキッと鳴らす
  • 筋膜リリース
  • モビライゼーション
  • トリガーポイント

などの徒手療法を行う人の多くも,『痛みの病態』 についてあまり考えず,治療方法だけを考えようとします.だから,骨格の歪み・骨盤のずれというあいまいな言葉で説明しようとします.

 

骨格の歪みや骨盤のズレを手術ではなく手で治療するのは不可能と考えられる理由の一つとして,陸上短距離100mの世界記録保持者のウサイン・ボルト選手を例にします.

この選手は1歩が左右で20cm以上違うくらい骨格に歪みがあります.ボルト選手には7人もの身体の専門家が付いていました.しかし,その骨格の歪みは治っていません.世界一の選手に付いている専門家ですから知識や技術は確かでしょう.それでも歪みは治らないなら,地域の整体でも骨格や骨盤のゆがみは治せないはずです.

 

この他にも骨格や骨盤の歪みが治せない理由を 骨盤矯正でこんな効果・?整体・カイロの‘不都合な真実’ で説明していますので参考にしてください.骨盤矯正などについての考えが少し変わるかも知れません. 

背骨 体幹 腰痛

腰痛になる病気や他の理由


腰痛を引き起こす原因は様々です.

骨折など骨による痛み,神経の圧迫など神経因性の痛み,椎間板自身の痛み,その他,関節や筋肉が痛くなる事もありますし,心因性といって精神状態によっても腰痛になる事が分かっています.

骨による腰痛

『骨の痛み』と言っても,【圧迫骨折】などの一時的な外傷によるものや繰り返す小さなストレスが引き起こす【脊椎分離症】のようなものや,骨が脆弱になって痛みが発生する事もあります.

 

神経による腰痛

『神経の痛み』は圧迫やストレッチされるストレスで痛みますし,液性因子など身体の中で起こる化学的な刺激でも起こります.【椎間板ヘルニア】はその最たるものですし,【脊柱管狭窄症】もこの神経を圧迫する事で起こる症状が主だったものです.

その圧迫は骨性で脊柱管内で起こるのか,椎間孔で起こるのか,椎間板によるのか,筋肉によるのかなど色々な場所で起こり得ます.

 

椎間板による腰痛

『椎間板の痛み』も考えます.椎間板はゼリー状の【髄核】とそれを取り囲む【線維輪】で構成されます.本来椎間板はこの【線維輪】の外側しか痛みを感じない神経の構造になっていますが,加齢や普段の姿勢や運動習慣によって”変性”が起こると,神経が椎間板内部に侵入していくので,椎間板全体のストレスによって痛みが起こるようになります.

 

 

健康な椎間板であれば,線維輪が保たれるような圧迫や捻じれのストレスでは痛みを感じませんが,変性した椎間板では線維輪が破れないような小さなストレスでも痛みを感じるようになります.

 

その他様々な因子による痛みとそれぞれの原因があります.

腰痛 椎間板 神経 迷入
椎間板の変性と神経迷入 大島ら;13(J. Lumbar Spine Disord. 1): 17 - 23, 2007より

「○○で腰痛が良くなる」という謳い文句に対する違和感

上の事実だけでも沢山の【腰痛】の理由がありますので,「コレをしたら~」で【腰痛】すべてが良くなるという事はまず考えられないという事が分かります.

それでも多くの人がその謳い文句に惑わされるのは,【腰痛】を抱えている人が沢山で,症状がなかなか良くならない事で情報が氾濫しているからかもしれません.

腰痛の深淵を覗く

深淵を覗くと言っても,腰痛は本当に奥が深くその全てを理解するのは私には難しいです.

しかし,『難しい』と考えるからこそ,【腰痛】について深く知りたいと思いました.

 

【腰痛】を引き起こす組織について考察します.

『組織』とはここでは”身体を構成する一定の単位”です.例えば,骨,筋,神経などですね.

 

ここでの私見は Kuslich SD. et The Tissue Origin of Low Back Pain and Sciatica . Clinilca of North America 22.181-187,1991. という論文の影響を多分に受けています.このコラムの一番下に要約を載せますのでそちらも参考にしてください.

 

身体は刺激を与えると全て痛みを感じるという訳ではありません.

例としてよく分かってもらえるのは,『腸』です.実は腸はメスなどの鋭利な刃物で切っても痛みは感じません.ですが,組織をストレッチするような伸張刺激では痛みが発生します.

 

これは腰痛と関係するであろう組織でも同様で,論文の要約に詳しく書いてありますが,骨に強い刺激を与えても腰痛は再現されにくい事が報告されています.すべての部分ではありませんが,筋肉も同じように強く押さえてもほとんどの部分は痛みません.神経も健康的な状態であれば刺激に対してそこまで痛みに対して過敏ではありません.

 

ただし,『神経』と『筋肉』はある一定の条件下で痛みが生じやすくなります.

この一定の条件が【腰痛】の原因として割合が大きいと捉えています.

 

背骨 腰痛 神経

【腰痛】への対処は?

一番大事なのは原因究明です.

これには様々な方法がありますが,一番身体の中身まで厳密に検査出来るのは,やはり『病院』です.

脊椎を専門にしている先生にしっかり観てもらう事が大事です.

圧迫骨折や分離症などはレントゲンを撮らなければ分かりません.『椎間板』や『椎体終板』と言う組織で言うとMRI,それも一定の条件下でのMRI画像でしか判断出来ない事もあります.

骨折の他にも見落としてはならない【病気】が隠れている可能性もあるのでそのためにも病院受診は大事です.

 

ただし,病院では状態によって治療が薬や湿布で終わってしまう事もあります.ここから理学療法士や鍼灸師の出番です.

病院での検査でも痛みの原因としては見落とす可能性もあります.骨折ですら見落とされる可能性はあります.

他にもわずかな神経の変性による痛みの場合,MRIでも判断出来ませんし電気診断学でも捉えられない事があります.

 

このような痛みに対して,組織の『生理』や『病態』を考える事で初めて【腰痛】への対処が出来ると考えています.

『ぎっくり腰』などの急性の腰痛であれば,ある程度の安静は必要です.(過度の安静は不利益になると考えられています)

どうしても動かなくてはならない場合の処置は出来ますが,ある程度の危険性はあります.(圧迫骨折の場合,固定が弱いと不可逆性の骨の変形になる事もある)

 

ではそのような危険性が無いと判断された場合に多いのが,上でも少し述べたように『神経による痛み』です.

この対処方法が当院では得意ですので,もし自身も該当すると考えられる人はご相談ください.

神経による痛みと考えられる理由と方法はこちらでまとめてあります.☞神経リリース 〜新しい身体へのアプローチ〜肩こり・腰痛などに

 

生理学や病態としてとらえた時に【腰痛】への考え方が変わるので,腰痛へ対処する側の方にも読んで頂くとスキルアップ出来ます.

腰痛に対する考え方が変わる論文


ここからは,腰痛を考える上でよく参考にしている文献の一つです.一つ一つの組織を同定しながらの研究方法であり,根本を考えるには重要な情報です.

 注目すべき点は沢山ありますが,

  • 筋・筋膜や関節包を刺激してもあまり疼痛は発生しないという事
  • 筋膜組織が破たんしている症例もあるという事
  • 筋・筋膜を刺激して痛みがある場所は一定の共通点がある ⇐とても大事な情報です.ぜひ実際末尾の論文内容を読んで下さい

腰痛は『非特異的が多い』と言われて久しいですが,そのあとにフォーカスされた【筋・筋膜性腰痛】が多いとする意見と異なります.

もちろん筋による疼痛はあると言われます.これは虚血(血流が減少している状態)で筋収縮すると疼痛を生じるためです.

しかし,単純に筋や筋膜が引き起こしている腰痛で,筋膜リリースなどというものをすると痛みが治まるというのは他の作用がありそうです.

以下は,

Kuslich SD. et The Tissue Origin of Low Back Pain and Sciatica (腰痛及び坐骨神経痛の原因組織)

 Clinilca of North America 22.181-187,1991.

という論文の要約になります.

 

治療者は是非原文も参考にしてください.

 

 


はじめに

 

過去10年,700例を越える局所麻酔下における腰椎の手術を行い,腰部及び下肢に疼痛を及ぼす組織をいくつか特定した.

 

坐骨神経痛を及ぼす組織は,腫脹・伸張・圧迫のある神経根である.

腰痛はいくつかの腰部組織を刺激することにより発生するが,もっとも多いものは線維輪外層と後縦靭帯で,

臀部痛は線維輪及び神経根の刺激によって発生する.

 

椎間関節包に刺激を与えても腰痛が発生する事はまれである.

椎間関節滑膜及び関節面軟骨では疼痛は発生しない.

 

 どの組織が腰痛・坐骨神経痛を惹起させるのか?

この問いについて専門化の意見は様々である.

この問題は,未だ真に学術的とは言えない.

どの組織が疼痛を惹起させるかが明確になれば,治療方法はより確率されるであろう

 数多くの文献がありその趣旨も様々であるが,ほとんどは量的に不十分な基礎的研究より結論付けている.

 

 そういった専攻論文から考えられる腰痛や下肢痛の原因についての論争は,固有受容期の存在か,適切な侵害受容性神経終末の有無の知覚に由来した疼痛惹起であることにより起こる.

これを指摘するに当たりイギリスの神経学者であるWykeは,椎間板には腰痛を惹起させる神経終末がないため腰痛の原因とは考えにくいと結論付けている.

 

 それでは,筋組織についてはどうであろう?多数の研究者が弱化した若しくは傷害のある筋は腰痛を引き起こすとしている.

この仮説が合っているなら,弱化していない患者も腰痛がある事,他部位における過労性及び傷害された筋による疼痛より,腰痛が長期にわたり継続する事は説明できない.

 

数例のコンパートメント症候群については,顕微鏡レベルでの萎縮性の変化を認めているが,腰部手術においては断裂や血腫については確認されていない.

多数の研究は容易には廃用と関連付けられない筋病理のわずかな発見であった.

 

 


腰痛の研究対象

 

 1987年~1990年において来院した193人の患者が対象である.

ヘルニア及び狭窄症の全例において除圧術を施行した.

 

 刺激は外科的道具か低電圧通電によって行い,明瞭さ・安全面より鏡視下にて操作した.

神経根の除圧術については先行のものと同様に行った.

表1は今回行った組織である.被験者は完全に意識下か,若しくはわずかに意識レベルを低下させて行った.

各組織を刺激し疼痛が発生しているかを確認し,麻酔医が反応をチェックした.

 


腰痛の原因~研究結果

 

 

 下の表にそれぞれ,個体数とパーセンテージを示した.

全例の総和が193人ではないのは,全ての被験者に全ての組織を刺激出来なかったからである.

例えば,健常神経根を確認できる視野を確保出来なかった例である.

疼痛強度をアナログスケールを用いて0~5にて評価した.

(強い疼痛とは,強度の高い,若しくは術前と同様の疼痛)

 

これらの操作は,優しく丁寧に行った.

疼痛を生じさせたのはわずかの間で,刺激を除去するか,

キシロカイン(麻酔薬)を投与する事で疼痛を消失させた.

 

 

 


*色付けしている行が痛みが出た症例が多い組織. 

*中でも50%以上の症例で疼痛が出るのは

  • 皮膚
  • 伸長刺激,圧迫刺激を受けている神経根
  • 椎間板線維輪
  • 椎体終板

下表は疼痛を生じる頻度

 

tissue

No.tested

No. and  % some pain

significant pain (%)

anatomic site of pain

lumbar fascia

193

32(17%)

0.5

back

paravertebral muscle

193

80(41%)

0

back

supraspinous ligament

193

49(25%)

0

back

spinous process

193

21(11%)

0

back

interspinous ligament

157

10(6%)

0.5

back

lamina

193

2(1%)

0

back

facet capsule

192

57(30%)

2.5

back, Buttock(rare)

facet synovium

186

0

0

 

ligamentum flavum

167

0

0

 

epidural fat

193

1(0.5%)

0

back

psoterior dura

92

21(23%)

6

buttock, leg

anterior dura

64

15(23%)

5

back, Buttock(rare)

compressed nerve root

167

166(99%)

90

buttock, leg, foot

normal nerve root

55

6(11%)

9

buttock, leg

central annulus

183

135(74%)

15

back

central lateral annulus

144

102(71%)

30

back

nucleus

176

0

0

 

vertebral end plate

109

67(61%)

9

back

 

 

always

often

rare

never

skin

outer annulus fibrous

supra/interspinous ligament

ligamentum flavum

compressed nerve

vertebral end plate

facet capsule

lumbar fascia

 

tissues in anterior epidura space

muscle attachment at boune or neurovascular bundle

lamina bone

 

 

 

spinous process bone

 

 

 

facet synovium

 

 

 

umcompressed nerve root

 

 

 

uninflamed dura

 

 

 

facet cartilage

 

 

 

腰痛・坐骨神経痛と各組織に対する刺激の影響


 

 

  • 腰筋膜

 腰筋膜とは傍脊柱筋の表層にある,光っている,白く,軽度の張りのある線維組織を含む.

多数の筋膜は操作なしに癒着若しくは切断されていた.

 

棘突起に付着する中央の組織を刺激すると,時折疼痛惹起が認められた.

これは棘上靭帯とも呼ばれる.

 

しかし疼痛を生じることはあまりなかった.

但し,血管や神経の孔部を牽引したり焼灼したりすると限局的に鋭い不快感を生じた.

 

*筋膜は元々癒着や切断されている状態もあり,筋膜を操作することで痛みが軽減する理由にはならないようです.

但し,血管や神経の通り道を圧迫すると痛みを生じるため,ツボなどの個所と一致するのかもしれません.


  •  

 少々の圧迫なら疼痛を生じる事はない.

血管神経若しくは,腱部を強く伸張させると腰痛を生じた.

これは強い圧迫と伸張によって生じている.

その疼痛は鋭く,深部を刺激されているような感覚であり,腰痛のような鈍い痛みでもある.

 

筋の病理的変化から疼痛を関連付ける事は出来ず,疼痛は筋束によるものではなく抹消血管や神経によるものと考えられた.

 

筋の圧迫も直接痛みを生じるわけではないという解説

 筋・筋膜性腰痛を見直す必要があると思います.

  •  正常神経根

 健常な圧迫も伸張もない神経根は,疼痛を感受しにくかった.しばらく強く伸張させてもわずかな異感覚を生じるのみで強い疼痛は生じなかった.

 

  •  圧迫神経根

 圧迫若しくは伸張にさらされている神経根を刺激すると,手術前にあった坐骨神経痛様の症状が再現された.

 

下肢痛をもたらす組織のなかで,坐骨神経痛をもたらす組織は,圧迫・伸張・腫脹のある神経根だけであった.

 

坐骨神経痛は,圧迫を受けている尾側硬膜,神経根鞘,神経節,神経節までの遠位神経の圧迫及び伸張刺激にても再現された.

神経節は他よりも疼痛は軽度であったが,その差はたいした物ではなかった.

全般的に,圧迫及び伸張を受けている神経の近位を刺激すると疼痛強度は大きかった.

 

この疼痛は,1%キシロカイン,0.5ccを神経鞘の近位に注入する事で消失した.

 興味深いことは,ラミネクトミーを受けている患者は神経周囲の線維化が認められたが,瘢痕組織は疼痛を生じなかった.

しかし,神経根は通常過敏であり,神経痛を生じている場合の瘢痕組織の存在は,一箇所に神経を固定しそれ故に神経根の圧迫・伸張が生じると考えられる.

 

 

圧迫,伸長刺激のない正常な神経根は痛みません.但し刺激にさらされている神経根は必ずといっていいほど疼痛が生じます.

 麻酔で痛みが消失するためブロック注射も的確に打つことができれば痛みは無くなります.

 神経の圧迫・伸長刺激をどのように取り除いてあげるかが腰から下肢痛の治療のカギとなるようです.

  • 線維輪

 約2/3の被験者において疼痛が認められた.

その痛みは腰痛を惹起し,元々の腰痛と似ていた.

それは居所麻酔にて消失された.

 

臀痛を引き起こすことはあまりなく,神経根と線維輪外層を同時に圧迫すると臀痛を生じることがあった.

また,外側ヘルニアを椎孔へ刺激すると臀痛を生じた.

総じて加療が必要なほどの重大な臀痛を生じることは非常に稀であった.

 

 線維輪はヘルニアや狭窄症の手術を行う被験者の内,1/3に激痛を生じ,1/3に軽い疼痛,残り1/3は疼痛を生じなかった.

おそらく被験者には,神経過敏を生じている可能性はある.

若しくは椎間板がより疼痛を感じるような,化学的,機械的ストレスがあったと推測される.

他の研究では,被験者のなかには椎間板隆起があっても無症候性のものがあるとしている.

 

 線維輪への刺激による関連痛は存在する.中心線維輪や後縦靭帯への刺激は腰中心部痛を生じる.

後縦靭帯の左右を刺激すると腰部外側痛を生じる.

これについては,椎間板隆起が外側へ生じたときの一側に生じる疼痛を説明している.

 

 

椎間板の外側線維輪にはもともと痛みを感じる受容器はありますが,内側には受容器がないため椎間板性の疼痛は本来あまりありません.

 しかし,椎間板の変性が進むと痛みを感じる神経が内側へ入り込んでくるため痛みを感じるようになります.

 20歳ころから椎間板の変性は進むため,椎間板線維輪由来の疼痛は年齢とともに変化すると言えます. 

 

  •  後縦靭帯

 後縦靭帯と線維輪中央部とは交通がある.それは高頻度にて腰中心部に疼痛を生じる.線維輪に近接している事もあり疼痛原因は断定できなかった.総じて,線維輪後方にて疼痛惹起があった場合,後縦靭帯も過敏になっていた.

  •  椎体終板

 終板を圧迫若しくは掻爬すると深部に強い疼痛を生じた.これは,手術以前の違和感より強く鋭いものであった.

 

 

椎体終板は腰痛の原因となるようです.

 椎体終板の障害はMRIでも判断しづらい場合が多く,非特異的腰痛として考えられてしまうこともあるのではないでしょうか.

 

  •  椎間関節

傍脊柱筋をよけた上,針などによる刺激に対し椎間関節包周囲組織は時折過敏である.

しかし,疼痛は鋭く局所に発生し,術前にあった腰痛とは違いがあった

.関節包は時折疼痛を発生し,その箇所は腰背部であり,稀に臀部もあるが下肢には出なかった.

それは,関節包周囲に対する数mlの局所麻酔によって消失した.

それは必ず関節内に注入しなくても可能であった.

関節滑膜や軟骨は疼痛を生じなかった.

 

椎間関節について興味深い事は,脊柱管が三つ葉を形取り外側憩室が狭くなっている場合,上関節突起関節面と関節包は,椎間板の後面と連絡を持っている例が多かった.

この部分を圧迫刺激する事で,腰痛再現をさせる事が多数の例で出来た.

これが,患者に対し腰痛を引き起こすのか,臨床家はこれをファセットシンドロームとして扱うのか.

これは腰痛を引き起こす可能性のひとつであり,椎間関注の効果の機序であると考える.

 

 その他

 黄色靭帯,硬膜外脂肪体,硬膜後部,髄核,椎弓,棘突起は局部刺激に対して反応しにくい.

棘間靭帯を強く伸張すると局所的な腰中央の疼痛を生じる.

骨膜層に対する刺激では疼痛は惹起されず,棘突起,椎弓,関節骨は局所麻酔無しにかんしにて除去することができた.

骨髄への静水圧上昇における疼痛に関しては調査出来なかった.

 

 

 


結語

 居所麻酔下における操作にて,臨床で見られる疼痛症候群を引き起こす組織を特定する機会があった.

脊柱の操作は,生体における疼痛を生じる組織の特定に有用である.

 

  • 坐骨神経痛は炎症・伸張・圧迫を受けている神経根に対し,圧迫若しくは伸張刺激を加えたときのみ生じる.

 

  • 他の組織は下肢痛を引き起こすことはなかった

 

近位神経部におけるキシロカイン注入にて完全に神経痛を除去することが出来た.

 

  •  線維輪外層は最も高頻度に腰痛を引き起こす部位である

 

  • 椎間関節滑膜は決して腰下肢痛を引き起こすことはない.
  • 関節包は疼痛を惹起することがあるが,腰痛や神経痛に関しては,神経根,線維輪外層など,疼痛を惹起させやすい組織を刺激するために起こるものと考えられる.

筋,筋膜,骨は痛みを感じにくい.これらの結果は,マッサージ・超音波・電気刺激・運動療法・磁気刺激マニプレーション・筋リラクセーション・抗炎症療法・精神療法・手術療法の効果に関する疑問を呈する.

今後は腰痛の真の原因が何かを突き詰めることに時間を割くべきであり,疼痛をあまり生じない組織に対する,マニプレーションや寒冷・温熱といった治療に時間を割くべきではない.

 

 

*この論文が腰痛全てを説明しているわけではないと思いますが,腰痛の原因を考え直すに足る研究だと思います.

筋に対する直接刺激は痛みを感じにくいですが,前述したととおり血流が不十分な状態で筋が収縮すると痛みを感じます.

見極めも重要になりますので,基礎的な生理学や病態をしっかり熟知したうえで治療を考えたいものです.

 

 

 

 

金沢市 スポーツ・身体のケア 

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↓ コラム ↓


本当に体が柔らかくなるストレッチ!ポイントは神経??

ストレッチしても全然体が柔らかくならない!

そんな人はいませんか?

それは実はポイントがちゃんと押さえていないストレッチをしているからなのです.

 

兎にも角にもまずやってみましょう!

本当に効果があるかどうか見るために,まず床から指が何cmまで前屈出来るかを測って⇓の動画の一番目のストレッチだけやって再び前屈してみてください.

どれくらい指先が床に近づくでしょうか!?

 

 

 

 

 

 

いかがでしたか?

 

背中が曲がってしまったり,腰が斜めに向いたりすることが多いのでそこさえ注意すればかんたんに出来るストレッチかと思います.

そして一番大事なのはストレッチの効果ですね.

5cmくらいは柔らかくなった人が多いと思います.

なかには10cmくらい変わる人もいるはずです.

 

普段のストレッチでは柔らかくならないのに,なぜ効果があるのかを解説しましょう.

柔軟性 ストレッチ 柔らかい体

前屈の体の柔らかさ,【柔軟性】とは何で決まるのか?

前屈する場合の体が『固い』理由は,

  • 神経の長さ
  • 筋肉の長さ
  • 関節自体の固さ

におおよそ分類されます.

上の図の色の部分と照らし合わせるとわかりやすいと思います.

 

体の固さと言うとついつい『筋肉が短くなっている』とか『関節が固い』などと言ってしまいがちですが,必ずしもそうではありません.

女性の場合,関節は柔らかいですが前屈が出来ないという人も多いです.

つまり【関節そのものの固さ】と【前屈の柔軟性】は必ずしも一致しません.

 

近年『体が固い』という人のほとんどは神経の影響を受けていることが多いようです.

なのでまず神経の長さを調節することが体を柔らかくする必要な条件であると言えます.

 

上の動画の一番目のストレッチがそれに当たります.

【神経フロシング】という概念になりますが,神経の滑走性や長さを調整することで神経をより動きやすくしてあげることが出来ます.

前屈の柔軟性だけでなく【肩こり】などにも応用出来ます.

 

 

神経の長さを調節した上で筋肉のストレッチを行うので,筋肉のストレッチにも必然と効果が現れやすいのです.

 

ストレッチを継続すれば間違いなく前屈の柔軟性は向上しますので1日1回を目安にやってみましょう!

腰痛のある方にもオススメですよ.

 

また肩こりや首の症状でお困りの方はこちら⇓のコラムも参考にしてください.

 

肩こりや猫背に悩んでいる人に!その理由と対処法

 

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続・理想の投球フォーム 〜バイオメカニクスから観た投球フォーム〜

球速にこだわる投球フォーム

【投球フォーム】の基礎のコラムは↓

今回のコラムは徒然と順序など関係なく球速アップする投球フォームについて思いついた事を書き足していこうと思います,

山本由伸投手の投球フォーム

出典:Amazon Prime Video
出典:Amazon Prime Video
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正しいスクワットとは?正しいとは何なのか?

スクワットとは??


下肢を中心にトレーニングが可能な【スクワット】はアスリートやダイエッターなど幅広い分野で行われているエクササイズの一つです.

スクワットの定義は,立位から下肢を曲げて腰を下げまた立ち上がるエクササイズ(wikipedia;suquatより)です.

ポイントとしては,下肢および体幹後面の筋を主にトレーニングできることです.

 

 

スクワットの正しさとは?


よく正しいスクワットという言葉を聞きますが何を持って正しいとするかが重要です.

筋力トレーニングのエクササイズだと考えると,目的とする筋にアプローチ出来れば正しいと言えるはずです.

つまりどの筋に焦点を絞るかで正しいスクワットは変わる訳です.

これは覚えておきましょう.

 

一つ気を付けたいのは,正しいスクワットという言い方は決して正解ではありませんが,【正しくないスクワット】はあります.

怪我を助長する可能性もあるので間違ったスクワットはやめましょう.

 

 

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スポーツにおける『腰を落とせ』の危険性

漫画 『SLAM DUNK』 より
漫画 『SLAM DUNK』 より

スポーツ現場でよく『腰を落とせ』という言葉を耳にします.

この言葉の危険性について解説します.

 

まずここでは腰を落とす目的を,【重心を低くするため】として解説します.

もし他の理由が考えられるようでしたらコメントをお願い致します.

 

スポーツの場面で重心を低くするのは,クイックネスにとても有用で素早く動くためには必要な条件です.

しかし,【重心を低くする】ことを『腰を落とす』と表現するとクイックネスの向上を阻害したりケガを助長したりする恐れがあります.

 

『腰を落とす』と『重心を低くする』の違い

具体的に両者の違いを説明します.

違いというよりは,【重心を低くする】事に【腰を落とす】事も含まれます.

腰を落とすというと多くの場合,下の図のようになります.

一方でスポーツにおける基本姿勢の【アスレティックポジション】はおおよそ下の図です.

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理学療法士と鍼灸師から観た【トリガーポイント】と【ツボ(経穴) 】

今回は【トリガーポイント】と【経穴(ツボ)】について解説してみます.

最初に書きますが,ある手術の操作中の研究では,筋膜に対する刺激はほとんど痛みを感じないと結論つけられています.

より深く痛みや体の構造から考察し直したため,今まで考えられてきたトリガーポイントの概念を覆す形になりますが,トリガーポイントの考え方に疑問や違和感を持っている人には読んでもらえればふに落ちる部分があるはずです.

トリガーポイントとは?

トリガーポイントの定義は,“筋硬結と関連がある,筋における非常に過敏なスポット”とされています.

この概念は1942年にJanet G. Travell医師によって考案されたそうです.

あくまでも概念でありイメージング研究でもトリガーポイントの存在は証明されていません.80年近く前の概念が,医学的な発展を迎えた今でもほぼ変わらずに存在し続ける事の影響力は非常に大きいと言えます.

トリガーポイントの一例を図示します.

1及び2の✘印を刺激すると対応する1,2の赤い領域に反応が現れる事を示しています.

 

経穴(ツボ)とは?

経穴は以下のように説明されています.

経穴 (けいけつ) とは、中医学、漢方医学、経絡学の概念で、身体表面の特定の部位に指圧、鍼、灸で刺激を与えることで体調の調整、諸症状の緩和を図れるとするものである。一般には「ツボ」とも呼ばれる。筋筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome)におけるトリガーポイント(例えば腰痛の原因となる筋・筋膜内の好発部位)と大半が一致する。偽の刺激よりも真の経穴への刺激の方が効果は高い。” Wikipediaより

 

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無回転シュートの蹴り方〜説明されない【足首】と【身体の傾き】〜

ブレ玉の蹴り方

・足首に力を入れる⇐かなり強く

・体幹の傾きを維持

他にも

  • 中心を(ボールの芯)を蹴る
  • まっすぐ押し出す

など他の蹴り方の説明でもありますが,自分で試した所それだけでは蹴れないという実体験も踏まえて考察した結果,ブレ玉を蹴るには,【足首】と【体幹の傾き】この二つの意識が重要なようです.

 

あと前提としてインステップに近い部分で振り向く無回転の蹴り方です.

インサイドに近い振り方の場合は少し変わります.

詳しく解説していきましょう.

ブレ玉解説

ブレる理由

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美容鍼に合わせて行いたい日常の注意点

美容鍼をご利用の方にはなるべくお伝えしてるのですが,伝えきれてない事もあるかも知れないのでここでまとめてみます.

 

日常生活の中での少しの習慣を見直す事で美容面や体調面に変化がありますので是非試してみてください.

美容鍼 健康

食事が重要!身体は食べ物から出来ている!

まず大事なのは,食べ物です!

身体は食べ物からできているので

  • どれくらいの量か?
  • 何を食べたか?
  • 何を飲んだか?

によって,体調や美容に大きく影響します.

 

体重の管理,ダイエットだと考えやすいですね.

『食べれば太るし食べなければ痩せる』

遺伝的体質によって個人差はありますが,基本的にはこの原則です.

 

【何を】というのももちろん大事です.

栄養素はおおよそ,炭水化物・タンパク質・脂質で大別されます.

それぞれの割合がどうなっているかでも身体への影響は変わります.

 

炭水化物ばかりだと血糖値が上昇しやすく,高血糖の環境に慣れてしまうと血糖のコントロールが難しくなり糖尿病を引き起こしかねません.

 

タンパク質が不足すると筋肉が分解されてしまうため,同じ体重でもしまりのない緩んだ身体になってしまいます.病的に不足すると浮腫みなども引き起こす可能性があります.

 

脂質はg当たりのカロリーが最も大きいので,脂質を多く含んだ食事を続けると太ると言われます.

ただし,重要な細胞膜を構成するのは脂質であるため,脂質がないと組織が健全に保てない可能性もありますので脂質も大事な栄養素です.

最近はω-3脂肪酸としてアマニ油やエゴマ油,魚油などが注目されていますね.同じ脂質でも内容によってまた違います.

 

 

エゴマ油
健康面で有用とされるえごま油(無農薬栽培)

美容という意味合いで考えれば,それぞれの栄養素をバランス良く が大事ですが,現状の平均的な食事から考えると,炭水化物を少なめにタンパク質を意識して摂りましょう.

エゴマ油もあると一番ですが,まだ良質のエゴマ油は手に入りにくい状態ですので,魚類を意識して摂るようにしましょう.

ビタミンや他のミネラルも大事ですので,サラダや海藻類も忘れないように.

 

もちろん個人の健康状態によって違いますので注意が必要ですが,食事の注意を続ければお肌のハリやうるおいが変わってきますよ!

美容鍼で皮膚表面の血流が良くなって潤ったお肌も続きやすいです.

 

 

 次は水分についてですね.

よく『2ℓを目安に水分を摂る』と言いますが,まさにその通りです.

 

夏場は暑かったり,脱水や熱中症のニュースも多いため水分摂取は進みますが,寒くなってくるとどうしても水分の摂取は減ります.

この時期は暖房などで乾燥もしますから,水分摂取が減っているのにあいまって肌のうるおいが失われがちです.

肌のうるおいがなくなると,皮膚のバリア機能も下がるためニキビなど吹き出物も出やすくなります.

また,脱水状態になると身体が水分を蓄えようとして浮腫みやすくもなるので,肌のうるおいのためだけでなく水分を摂る事が大事です.

 

さらに水分が少なくトイレに行く回数が減ると身体の老廃物がたまり思わぬ体調不良を引き起こします.

実際に経験した話だと『尿酸値が上がり痛風になりかけた』とか『胆石が発見された』などがあります.

 

水分摂取は習慣としないとなかなか難しいので,例えばですが,

  • 食事の際に必ずコップ1杯水を飲む
  • 午前中と午後にコップ1杯飲む
  • お風呂と寝る前に1杯飲む

など決まりごとにしておくと一定量の水分摂取が期待出来ます.とてもおすすめの習慣です.

便秘も解消される事が多いですよ.

 

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