腰痛って一体何??治すには!?まず痛みの原因を考える The Tissue Origin of Low Back Pain and Sciatica (腰痛及び坐骨神経痛の原因組織)

腰痛ってなぜ痛いの??


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腰痛,本当の腰の痛みの原因は,あまり考えられてません.

それは病態に関する知識が乏しい人が治療を行っているからです.

 

一般の方も巷で言われていることが正しいかどうかの判断材料にしてみてください.

 

排他的で扇動的な情報操作というのはどこにでもありますが,

そこにはビジネスが絡み真実でないことが多いです.

 

医療関係者,治療者の方も絶対読んだ方が良いです.

治療を考える上で重要なのは,治療方法ではなく病態です.

病態が分かれば治療方法は自ずと導き出されます.

 

 

以上の理由から,腰痛に対する考え方や治療方法も一定ではありません.

 

バキバキッと鳴らす,徒手療法を行う人の多くも,

痛みの病態 についてあまり考えず,治療方法だけを考えようとします.

だから,骨格の歪み・骨盤のずれというあいまいな言葉が生まれているのでしょう.

 

 腰痛を考える上でよく参考にしている文献の一つです.

 

一つ一つの組織を同定しながらの研究方法であり,根本を考えるには重要な情報です.

 

 注目すべき点はたくさんありますが,

  • 筋・筋膜や関節包を刺激してもあまり疼痛は発生しないという事
  • 筋膜組織が破たんしている症例もあるという事

この辺りは,最近よく腰痛の原因と言われるものと異なります.

 

もちろん筋による疼痛はあると言われます.

これは虚血(血流が減少している状態)で筋収縮すると疼痛を生じるためです.

しかし,単純に筋や筋膜が引き起こしている腰痛で,筋膜リリースなどというものをすると痛みが治まるというのは他の作用がありそうです.

 

 

 

 


以下は,

Kuslich SD. et The Tissue Origin of Low Back Pain and Sciatica (腰痛及び坐骨神経痛の原因組織)

 Clinilca of North America 22.181-187,1991.

という論文の要約になります.

 

治療者は是非原文も参考にしてください.

 

 


はじめに

 

過去10年,700例を越える局所麻酔下における腰椎の手術を行い,腰部及び下肢に疼痛を及ぼす組織をいくつか特定した.

 

坐骨神経痛を及ぼす組織は,腫脹・伸張・圧迫のある神経根である.

腰痛はいくつかの腰部組織を刺激することにより発生するが,もっとも多いものは線維輪外層と後縦靭帯で,

臀部痛は線維輪及び神経根の刺激によって発生する.

 

椎間関節包に刺激を与えても腰痛が発生する事はまれである.

椎間関節滑膜及び関節面軟骨では疼痛は発生しない.

 

 どの組織が腰痛・坐骨神経痛を惹起させるのか?

この問いについて専門化の意見は様々である.

この問題は,未だ真に学術的とは言えない.

どの組織が疼痛を惹起させるかが明確になれば,治療方法はより確率されるであろう

 数多くの文献がありその趣旨も様々であるが,ほとんどは量的に不十分な基礎的研究より結論付けている.

 

 そういった専攻論文から考えられる腰痛や下肢痛の原因についての論争は,固有受容期の存在か,適切な侵害受容性神経終末の有無の知覚に由来した疼痛惹起であることにより起こる.

これを指摘するに当たりイギリスの神経学者であるWykeは,椎間板には腰痛を惹起させる神経終末がないため腰痛の原因とは考えにくいと結論付けている.

 

 それでは,筋組織についてはどうであろう?多数の研究者が弱化した若しくは傷害のある筋は腰痛を引き起こすとしている.

この仮説が合っているなら,弱化していない患者も腰痛がある事,他部位における過労性及び傷害された筋による疼痛より,腰痛が長期にわたり継続する事は説明できない.

 

数例のコンパートメント症候群については,顕微鏡レベルでの萎縮性の変化を認めているが,腰部手術においては断裂や血腫については確認されていない.

多数の研究は容易には廃用と関連付けられない筋病理のわずかな発見であった.

 

 


腰痛の研究対象

 

 1987年~1990年において来院した193人の患者が対象である.

ヘルニア及び狭窄症の全例において除圧術を施行した.

 

 刺激は外科的道具か低電圧通電によって行い,明瞭さ・安全面より鏡視下にて操作した.

神経根の除圧術については先行のものと同様に行った.

表1は今回行った組織である.被験者は完全に意識下か,若しくはわずかに意識レベルを低下させて行った.

各組織を刺激し疼痛が発生しているかを確認し,麻酔医が反応をチェックした.

 


腰痛の原因~研究結果

 

 

 下の表にそれぞれ,個体数とパーセンテージを示した.

全例の総和が193人ではないのは,全ての被験者に全ての組織を刺激出来なかったからである.

例えば,健常神経根を確認できる視野を確保出来なかった例である.

疼痛強度をアナログスケールを用いて0~5にて評価した.

(強い疼痛とは,強度の高い,若しくは術前と同様の疼痛)

 

これらの操作は,優しく丁寧に行った.

疼痛を生じさせたのはわずかの間で,刺激を除去するか,

キシロカイン(麻酔薬)を投与する事で疼痛を消失させた.

 

 

 


*色付けしている行が痛みが出た症例が多い組織. 

*中でも50%以上の症例で疼痛が出るのは

  • 伸長刺激,圧迫刺激を受けている神経根
  • 椎間板線維輪
  • 椎体終板

下表は疼痛を生じる頻度

 

tissue

No.tested

No. and  % some pain

significant pain (%)

anatomic site of pain

lumbar fascia

193

32(17%)

0.5

back

paravertebral muscle

193

80(41%)

0

back

supraspinous ligament

193

49(25%)

0

back

spinous process

193

21(11%)

0

back

interspinous ligament

157

10(6%)

0.5

back

lamina

193

2(1%)

0

back

facet capsule

192

57(30%)

2.5

back, Buttock(rare)

facet synovium

186

0

0

 

ligamentum flavum

167

0

0

 

epidural fat

193

1(0.5%)

0

back

psoterior dura

92

21(23%)

6

buttock, leg

anterior dura

64

15(23%)

5

back, Buttock(rare)

compressed nerve root

167

166(99%)

90

buttock, leg, foot

normal nerve root

55

6(11%)

9

buttock, leg

central annulus

183

135(74%)

15

back

central lateral annulus

144

102(71%)

30

back

nucleus

176

0

0

 

vertebral end plate

109

67(61%)

9

back

 

 

always

often

rare

never

skin

outer annulus fibrous

supra/interspinous ligament

ligamentum flavum

compressed nerve

vertebral end plate

facet capsule

lumbar fascia

 

tissues in anterior epidura space

muscle attachment at boune or neurovascular bundle

lamina bone

 

 

 

spinous process bone

 

 

 

facet synovium

 

 

 

umcompressed nerve root

 

 

 

uninflamed dura

 

 

 

facet cartilage

 

 

 

各組織の詳細


 

 

  • 腰筋膜

 腰筋膜とは傍脊柱筋の表層にある,光っている,白く,軽度の張りのある線維組織を含む.

多数の筋膜は操作なしに癒着若しくは切断されていた.

 

棘突起に付着する中央の組織を刺激すると,時折疼痛惹起が認められた.

これは棘上靭帯とも呼ばれる.

 

しかし疼痛を生じることはあまりなかった.

但し,血管や神経の孔部を牽引したり焼灼したりすると限局的に鋭い不快感を生じた.

 

*筋膜は元々癒着や切断されている状態もあり,筋膜を操作することで痛みが軽減する理由にはならないようです.

但し,血管や神経の通り道を圧迫すると痛みを生じるため,ツボなどの個所と一致するのかもしれません.


  •  

 少々の圧迫なら疼痛を生じる事はない.

血管や神経若しくは,腱部を強く伸張させると腰痛を生じた.

これは強い圧迫と伸張によって生じている.

その疼痛は鋭く,深部を刺激されているような感覚であり,腰痛のような鈍い痛みでもある.

 

筋の病理的変化から疼痛を関連付ける事は出来ず,疼痛は筋束によるものではなく抹消血管や神経によるものと考えられた.

 

 

*筋の圧迫も直接痛みを生じるわけではないという解説

 筋・筋膜性腰痛を見直す必要があると思います.

  •  正常神経根

 健常な圧迫も伸張もない神経根は,疼痛を感受しにくかった.しばらく強く伸張させてもわずかな異感覚を生じるのみで強い疼痛は生じなかった.

 

  •  圧迫神経根

 圧迫下若しくは伸張にさらされている神経根を刺激すると,操作前にあった坐骨神経痛様の症状が再現された.

 

下肢痛をもたらす組織のなかで,坐骨神経痛をもたらす組織は,圧迫・伸張・腫脹のある神経根だけであった.

 

坐骨神経痛は,圧迫を受けている尾側硬膜,神経根鞘,神経節,神経節までの遠位神経の圧迫及び伸張刺激にても再現された.

神経節は他よりも疼痛は軽度であったが,その差はたいした者ではなかった.

全般的に,圧迫及び伸張を受けている組織の近位を刺激すると疼痛強度は大であった.

 

この疼痛は,1%キシロカイン,0.5ccを神経鞘の近位に注入する事で消失した.

 興味深いことは,ラミネクトミーを受けている患者は神経周囲の線維化が認められたが,瘢痕組織は疼痛を生じなかった.

しかし,神経根は通常過敏であり,神経痛を生じている場合の瘢痕組織の存在は,一箇所に神経を固定しそれ故に神経根の圧迫・伸張が生じると考えられる.

 

 

*圧迫,伸長刺激のない正常な神経根は痛みません.但し刺激にさらされている神経根は必ずといっていいほど疼痛が生じます.

 麻酔で痛みが消失するためブロック注射も的確に打つことができれば痛みは無くなります.

 神経の圧迫・伸長刺激をどのように取り除いてあげるかが腰から下肢痛の治療のカギとなるようです.

  • 線維輪

 約2/3の被験者において疼痛が認められた.

その痛みは腰痛を惹起し,元々の腰痛と似ていた.

それは居所麻酔にて消失された.

 

臀痛を引き起こすことはあまりなく,神経根と線維輪外層を同時に圧迫すると臀痛を生じることがあった.

また,外側ヘルニアを椎孔へ刺激すると臀痛を生じた.

総じて加療が必要なほどの重大な臀痛を生じることは非常に稀であった.

 

 線維輪はヘルニアや狭窄症の手術を行う被験者の内,1/3に激痛を生じ,1/3に軽い疼痛,残り1/3は疼痛を生じなかった.

おそらく被験者には,神経過敏を生じている可能性はある.

若しくは椎間板がより疼痛を感じるような,化学的,機械的ストレスがあったと推測される.

他の研究では,被験者のなかには椎間板隆起があっても無症候性のものがあるとしている.

 

 線維輪への刺激による関連痛は存在する.中心線維輪や後縦靭帯への刺激は腰中心部痛を生じる.

後縦靭帯の左右を刺激すると腰部外側痛を生じる.

これについては,椎間板隆起が外側へ生じたときの一側に生じる疼痛を説明している.

 

 

*椎間板の外側線維輪にはもともと痛みを感じる受容器はありますが,内側には受容器がないため椎間板性の疼痛は本来あまりありません.

 しかし,椎間板の変性が進むと痛みを感じる神経が内側へ入り込んでくるため痛みを感じるようになります.

 20歳ころから椎間板の変性は進むため,椎間板線維輪由来の疼痛は年齢とともに変化すると言えます. 

 

  •  後縦靭帯

 後縦靭帯と線維輪中央部とは交通がある.それは高頻度にて腰中心部に疼痛を生じる.線維輪に近接している事もあり疼痛原因は断定できなかった.総じて,線維輪後方にて疼痛惹起があった場合,後縦靭帯も過敏になっていた.

  •  椎体終板

 終板を圧迫若しくは掻爬すると深部に強い疼痛を生じた.これは,手術以前の違和感より強く鋭いものであった.

 

 

*椎体終板は腰痛の原因となるようです.

 椎体終板の障害はMRIでも判断しづらい場合が多く,非特異的腰痛として考えられてしまうこともあるのではないでしょうか.

 

  •  椎間関節

傍脊柱筋をよけた上,針などによる刺激に対し椎間関節包周囲組織は時折過敏である.

しかし,疼痛は鋭く局所に発生し,術前にあった腰痛とは違いがあった

.関節包は時折疼痛を発生し,その箇所は腰背部であり,稀に臀部もあるが下肢には出なかった.

それは,関節包周囲に対する数mlの局所麻酔によって消失した.

それは必ず関節内に注入しなくても可能であった.

関節滑膜や軟骨は疼痛を生じなかった.

 

椎間関節について興味深い事は,脊柱管が三つ葉を形取り外側憩室が狭くなっている場合,上関節突起関節面と関節包は,椎間板の後面と連絡を持っている例が多かった.

この部分を圧迫刺激する事で,腰痛再現をさせる事が多数の例で出来た.

これが,患者に対し腰痛を引き起こすのか,臨床家はこれをファセットシンドロームとして扱うのか.

これは腰痛を引き起こす可能性のひとつであり,椎間関注の効果の機序であると考える.

 

 その他

 黄色靭帯,硬膜外脂肪体,硬膜後部,髄核,椎弓,棘突起は局部刺激に対して反応しにくい.

棘間靭帯を強く伸張すると局所的な腰中央の疼痛を生じる.

骨膜層に対する刺激では疼痛は惹起されず,棘突起,椎弓,関節骨は局所麻酔無しにかんしにて除去することができた.

骨髄への静水圧上昇における疼痛に関しては調査出来なかった.

 

 

 


結語

 居所麻酔下における操作にて,臨床で見られる疼痛症候群を引き起こす組織を特定する機会があった.

脊柱の操作は,生体における疼痛を生じる組織の特定に有用である.

 

  • 坐骨神経痛は炎症・伸張・圧迫を受けている神経根に対し,圧迫若しくは伸張刺激を加えたときのみ生じる.

 

  • 他の組織は下肢痛を引き起こすことはなかった

 

近位神経部におけるキシロカイン注入にて完全に神経痛を除去することが出来た.

 

  •  線維輪外層は最も高頻度に腰痛を引き起こす部位である

 

  • 椎間関節滑膜は決して腰下肢痛を引き起こすことはない.
  • 関節包は疼痛を惹起することがあるが,腰痛や神経痛に関しては,神経根,線維輪外層など,疼痛を惹起させやすい組織を刺激するために起こるものと考えられる.

筋,筋膜,骨は痛みを感じにくい.これらの結果は,マッサージ・超音波・電気刺激・運動療法・磁気刺激・マニプレーション・筋リラクセーション・抗炎症療法・精神療法・手術療法の効果に関する疑問を呈する.

今後は腰痛の真の原因が何かを突き詰めることに時間を割くべきであり,疼痛をあまり生じない組織に対する,マニプレーションや寒冷・温熱といった治療に時間を割くべきではない.

 

 

この論文が腰痛全てを説明しているわけではないと思いますが,腰痛の原因を考え直すに足る研究だと思います.

筋に対する直接刺激は痛みを感じにくいですが,前述したととおり血流が不十分な状態で筋が収縮すると痛みを感じます.

見極めも重要になりますので,基礎的な生理学や病態をしっかり熟知したうえで治療を考えたいものです.

 

 

 

 

金沢市 スポーツ・身体のケア 

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